「愕然とした」
「なんだい?」
「昔、東京都水道局高井戸増圧ポンプ所にまつわるいろいろな謎を抱え込んだ。それから、上北沢が杉並区に食い込んだクチバシの先端付近で発見した水路っぽい痕跡の謎も抱え込んだ。これらがまとめてワンセットで解けてしまったようだ」
「キーポイントはなんだい?」
「湧水だ」
「それはどういうことだい?」
「杉並の川と橋によると上高井戸淀橋地下水瀑布線という地下水の水位が高い地域が存在するという。そこでは少し掘るだけですぐ湧水が出てくる」
「つまりなんだい?」
「高井戸増圧は湧水点だとすると、全ての謎が氷解する」
「増圧ポンプ所とは、他所から来た水の圧力を上げて送り出す施設ではないのかい?」
「そうだ。でも、あそこは湧水点だと解釈すると急に見えてきた」
「それでどう見えるんだい?」
「高井戸増圧の周囲をぐるりと回ったところ、南側に気になる箇所を発見した。そこから辿ると面白いように水路跡らしいラインが辿れた」
「A点が高井戸増圧だね」
「そうだ」
「G点以降は?」
「直進して道に出てそこで南に曲がって上高・柏木精米点の前を通るのか、そのまま南に曲がるのかまだ確信を持つことができていない。まあそういう意味では上のラインもあくまで仮説に過ぎないが」
「いずれにしても、南に進んでお目玉の池にいたるわけだね?」
「そうなるのだろう。たぶん」
2016/05/27追記 §
「とまあ、気になる場所を結んでいくと1本になって驚いたのだが」
「うん」
「その後のアドバイスや調査でこの線は完全に間違いだと分かってきた」
「というと?」
「ここいらは複数の川筋が平行して走っている感じで、そこを直角に見て【気になるポイントが連続している】と見えてしまったのだ。まあ他にもいくつか誤認要素はあったのだが。高低差も後回しになっていたし」
「じゃあ、正しい線はどうなんだよ」
「問題はそこだ。何度も現地を見てきたことで知識量は著しく増大したが、まだ解釈に到達できていない」
「ダメじゃん」